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エンゲージメント

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コラム「人と経営」

エンゲージメント

1.生産性は上がるのか

働かない訳ではないのに生産性が上がらない日本の企業。時間あたりの労働生産性は米国の60%と低い(2020年度の調査)。従業員に様々な動機付けを行う。労働環境を良くする。しかし、一向に生産性は上がらない。

1990年 米国のボストン大学のウィリアム・カーン教授が提唱したモチベーションの研究から派生したエンゲージメントの概念が生産性に寄与する。エンゲージメントは契約、婚約、誓約、約束と訳される。

エンゲージメントは、従業員が組織や仕事に対して意欲を持ち、主体的に取り組み、個人と組織が一体となり、お互いに貢献しあう関係と言える。従業員の生産性や離職率との関係も様々な研究で明らかにされている。

2.会社への忠誠心はどこに

ギャラップ社(米国最大の調査会社)が従業員エンゲージメントの調査を2017年に実施。熱意にあふれる社員の割合が、米国では31%、日本は6%(139カ国中132位)。やる気のない社員が米国52%、日本は71%になる。

戦後、高度経済成長を成し遂げた日本。その現場を支えた社員は熱意があふれ、会社への忠誠心が高く、台風が来ても仕事を優先する。家庭よりも仕事。そんな時代から60年、社員のマインドは大きく変化した。

従業員エンゲージメントを向上させると、社員が組織に対して主体的に関わり、自分が仕事の役割と同期する。心技体(精神、技術、肉体)が満たされ、より肯定的に仕事に取り組み生産性が向上し、離職率が低下する。

3.ソニーの燃える集団

ソニーの全盛期に、ロボットのAIBOやCDの開発に携わった土井氏が「燃える集団」と呼ぶに相応しい状態が当時あったと述べている。現場で、チームが「夢中」になって仕事をしていると、次々と問題を解決して行く。

時間を忘れ、仕事に没頭して「燃える集団」の状態になると、外部からの報酬や賞賛ではなく、内発的動機付けと呼ぶ自分自身の内部から湧き上がる動機付けがパワーアップしフローな状態を維持する。

創業時から数十年ソニーが全社的にその状態にあったが、2000年以降は無くなっている。今、改めて従業員エンゲージメントが注目されている。企業価値を高め、生産性の向上が出来るのか注目をしたい。

(Written by 川下行三 22/08/30)
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