コラム「人と経営」
世界競争力
1.日本の競争力は低下を続ける
日本の競争力は年々低下している。毎年、スイスの国際経営開発研究所が世界64カ国の統計データと世界の経営者が回答したデータを基に世界競争力ランキングを発表。日本の順位は35位と過去最低だった。
アジア太平洋地域では、14カ国中11位とインドネシアより下位になった。シンガポール、台湾、香港はアジアで1位、2位、3位。お隣の韓国や中国も日本より上位に。世界のトップはデンマーク、2位はアイルランド。
1989年に発表された世界競争力で日本は1位だったが、34年でどんどん順位を下げた。要因は何か、政府やビジネスの効率性、企業の意思決定、起業家精神などが他国に劣る。
2.人的資源の競争力
人的資源の競争力に関する国際調査報告2023年版(フランスの経営大学院・インシアード/INSEADが発表した)は世界134カ国で日本は26位。アジアではシンガポールが2位、韓国は24位と日本より上位。
INSEADは政府による規制や市場、労働環境といった環境要因、マイノリティーやジェンダーなどを含む人材に対する魅力度、人材開発、人材の維持、基礎・職業専門スキル、グローバルな知識スキルの6つが指標。
10年連続で世界1位のスイスは、人材を引き付け、受け入れ、育成し、維持する能力に優れ、人材の職業・技術スキルも高い。日本の問題は労働環境や人材育成の環境は整備されているが人材を活用しきれていない。
3.無形資産を使え
日本の競争力を向上させるには人材を流動化し、賃金をアップし生産性を上げ、DXを進化させる。中小企業は大企業に比べモノやカネなどの経営資源が乏しい。しかし、無形資産や知的資産の活用で逆転も可能だ。
企業における競争力の源泉である人材、技術、知的財産(特許・ブランドなど)、組織力、経営理念、顧客とのネットワークなどの知的資産を認識し活用する。そして、利益を上げる知的資産経営が注目されている。
関西に本社を置く中堅製造企業のS社。IT化を推進、営業部門の相談窓口を設置、顧客の問い合わせや要望を調べ営業に返信、データベース化し見える化を行う。知的資産経営も十数年実施してきた優良企業だ。
ヒトへの投資をどれだけ進めるかが企業の成長を左右する。そして、その集積が世界での競争力の向上に貢献するだろう。