コラム「人と経営」
縮小市場で負けない経営
1.危機は訪れる
1980年代後半から日本企業の海外進出が相次いだ。バブル崩壊後国内市場は低迷、大きく縮小しサイズダウンした。そして、生き残りをかけて市場を海外に求めた。大企業から始まり勝ち馬に乗るように中小企業も。
中国、シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピンと。1997年、タイ・バーツが大幅に下落したことをきっかけに起きたアジア通貨危機。インドネシア、マレーシア、韓国に飛び火。
某化学系の中小企業H社。中国を始めシンガポール、タイ、インド他アジア各国、南米にも生産拠点を設けグローバル企業の走りと呼ばれていた。しかし、アジア通貨危機直撃で倒産。
2.縮小市場で活路
タイに進出した中小企業の某製品加工G社は、通貨危機の影響を受けたが乗り切った。同社の国内市場は縮小していた。ライバル企業の多くは廃業。社長曰く「同業が減って行くので、我が社に注文がくる」。
減少するスマホ市場で世界市場は2023年、アップル、サムソン、中国や台湾のメーカーで7割の市場を占有。国内市場はシェア51.4%で1位のアップル、出荷台数1438.9万台。2位シャープはシェア10.2%で286.9万台。
シャープがしつこくスマートフォンを発売している。今年、4機種を新製品として市場に投入。グローバル市場で何とか残っているソニー。生き残っていた国内メーカー3社も2023年に全て撤退した。
3.市場を深掘り
ビデオレンタルと言えばCCC(カルチャーコンビニエンスクラブ)とGEO(ゲオ)の2社。上場しているゲオは2024年3月期決算で売上高4338億と増収増益。ビデオレンタル市場が縮小している中で好調をキープ。
2007年の映像ソフト市場でレンタルはシェア54%(3604億円)だったが2023年はシェア11.5%、417億円と約10分の1にダウン。ゲオはレンタルから総合リサイクルショップに変化。特にリユース事業が販売に貢献。
音楽も今はダウンロードや配信が増えCD・DVDは減少。ましてレコードは見る影もない。1990年には、レコード針の最大手NG社が業績悪化のため黒字清算、会社を解散した。
衰退激しいレコード針を作り、蟹で有名な兵庫県の町に本社工場を構える中小企業N社。NG社と同じく1980年代後半、事業が成り立たなくなるが、海外に目を向けた。今では売上げの9割は海外と成功を収めている。