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賃上げは進むだろうか No.2

column

コラム「人と経営」

賃上げは進むだろうか No.2

1.大手の賃上げ

ユニクロやジーユーを展開するファーストリテイリングが3月から正社員8400人を対象に総人件費で15%アップする賃上げを柳井氏が1月に発表した。ざっと80数億円のコスト増になる。

ファーストリテイリングは、今期も15%は売上げも売上総利益も増えている。大手上場企業もそれに続けと3%から5%の賃上げ発表が行われているが、ファーストリテイリングほどのインパクトは無い。

鳥貴族を全国展開する鳥貴族ホールディングスは昨年9月に鳥貴族グループの正社員を対象に平均3,1%基本給をアップした。一人あたり8千円~1万円。しかし、その前に鳥貴族は9%以上の値上げを実施した。

2.賃上げのメカニズム

売上げが増えないと、賃金も上がらないのか。そうではなく利益が増えないと賃上げを実施出来ない。営業利益や経常利益ではなく売上高から仕入代や材料費(売上原価)を引いた通称、粗利が人件費の基礎になる。

決算書には粗利は出てこない。ほぼ同じの売上総利益がそれにあたる。呼び方を変えると付加価値とも言う(小売り・サービス業では)。稼いだ付加価値の中の人件費比率を労働分配率と呼ぶ。

業種や会社の規模により労働分配率は違う。中小企業より大企業の方が労働分配率は低い。付加価値に占める人件費の割合が中小企業は大企業の50%前後と比べると70-80%と高い。

3.付加価値を増やしているか

付加価値率(売上げに占める)は中小企業より断然大企業が高い。しかし、海外のグローバル企業と比べると日本のグローバル企業の付加価値は低い。すなわち、低成長・低収益で国際競争力が低い。

賃上げは付加価値を高める(販売単価を上げるか経費を下げる)ことで実施出来る。しかし、付加価値を高めていない賃上げはコストを増やしているだけだ。採用には効果的かも知れないが続かない。

10%の賃上げを実施するなら、10%付加価値を上げる。春闘でよく言われるベアは賃金ベースをアップする、そして総人件費は上昇する。ユニクロの賃上げは従業員の半数を占める非正規社員を対象にはしていない。

(Written by 川下行三 23/02/10)
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