コラム「人と経営」
リスクを真剣に感じなさい No.2
1.事業にリスクはつきもの
今、巷で一番の話題は、ライブドアのニッポン放送株の取得であろう。
フジテレビも巻き込んだマスコミ問題やライブドアのバックにある証券会社やファンドなどの外資による日本買いなどと大層な見出しが新聞紙上を賑わしている。
本業の事業そのもののリスクではなく、株式公開している限り抱えるリスクとしての認識の甘さがニッポン放送やフジテレビにあったことは、今回の事実が物語っている。
TOB(株式公開買い付け)などは、米国の話で日本の株式市場では、関係のないことだと思っている経営者が多い。証券取引法で決められた時間外取引のルールを知らなかったでは済まない。
2.事業継続管理(Business Continuity Management)とは
あらゆるリスクの予測を立てて、その対策を練る、対応マニュアルを完璧に整備することは実際には出来ない。大規模な組織でグローバルな展開をしているところは余計に難しい。
しかし、準備は必要だ。
事業継続計画(BCP)や事業継続管理(BCM)という概念をご存じだろうか。地震などの天災での被害を最小限にくい止め、復帰もしくは継続的な事業活動を行っていく為の計画であったりマネジメントシステムのことである。
自社の事業で中核になる事業は何か、例えばメーカーで有ればどの工場が主力なのか、その工場が閉鎖に追い込まれた時の影響はどれくらいなのか、その復旧にかかる時間、費用を検討しなければならない。
そして、主力工場の耐震補強をするのか、災害発生時の対応マニュアルは作るのか、仕組みや体制はどうするのかの計画を立て管理を行って行く。
3.過去の教訓から学ぶ
2000年6月、雪印乳業の大阪工場食中毒事件は記憶に新しい。当初、大阪工場のずさんな管理が原因だと思われたが、調査の結果、北海道の生産工程に問題があることが判明した。
2000年3月、北海道大樹工場の停電で脱脂粉乳の製造ラインが9時間停止したことに起因する。そのラインで出来た廃棄すべき製品を出荷し、大阪工場で低脂肪乳の原料として使われ大事件に発展した。
ここで学ぶべきことは、停電時の代替え電源、ライン停止時の対応、品質管理体制、事件発覚後の対応(原因追及、マスコミ対応)など多くの教訓を提供してくれた。しかし本質は、その事件に関わった社員や経営幹部の意識が一番の問題であったことを浮き彫りにした。
4.多様な価値観を認める組織は強い
テストマーケティングの地域に広島が選ばれる、何故か。日本の人口構成に一番近いからだと。広島でテストをした結果を基に全国レベルの数値を予測する。
某シンクタンクの所長が数年前に「我が社の従業員は、働き盛りの男性社員ばかりではなく、高齢者の男性や女性、若い社員、外人もいる。日本の人口構成に近いですよ」と。
組織の中で多様な価値観が衝突する、それが健全だと思う。経営上の理念を共有するのは構わないが、みんな同じ意見は危険だ。他人と違う考え方を主張する社員を経営者は大事にして欲しい。