コラム「人と経営」
トップの想いと戦略が船を操る No.2
1.規制を強化する、罰則を重くする
最近のマスコミ報道から感じることは、どのメディアも同じニュースを報じている。その論調もたいした差がない。唯一、ニュースキャスターが違う、論説委員の名前が違う程度で内容は似たり寄ったりだ。
飲酒運転によるひき逃げ問題が大きく取り上げられている。道路交通法の罰則規定を変更したことによる。罪を重くしたことが、ひき逃げ放置に拍車をかけている。
駐車違反も同じく強化が図られた。しかし、相変わらず点滅させた車やタクシー、トラックは平気で駐車を行う。取り締まる方と取り締まれる方との追いかけ合いが続く。
2.ニューヨーク市長のリーダーシップ
ニューヨークの治安の悪さは10数年前まで有名だった。至る所で犯罪が行われ、観光客が激減した。当時のジュリアー二市長は、些細な事件を放置することが大きな事件の温床になっている事を発見。警察官を大量に投入した。
そして、空き巣やひったくり、路上での押し売りや車窓磨きまで、厳しく取り締まった。その結果、殺人などの悪質な事件が減った。だから、ニューヨーク市内の路上駐車は観光バスと言えども許されない。
日本の駐車違反の取り締まりは、警察に委託された専門業者頼みだ。警察官の姿を見ない。この規制強化の目的は何なのか。本当に市内での車を減らしたければ、シンガポールのように入ってくる車に入場税のようなものを取ればいい。
3.法律は政治家がつくり、行政が執行する
会社で有れば、トップが方針を明らかにし、ビジョンをつくる。戦略を立案し、計画を立て、実行する。中小企業は社長自身が実行責任者である。自らの命をかけてやり遂げる。
法律をつくった政治家は、その執行に全生命をかけているのか?行政の担当者は、執行をするが責任は取らない。出来なかった場合、最終責任は誰がとるのか。誰もとらない。しかし法律は残る。
社会の変化は激しい。国民や消費者の意識はどんどん変わる。企業は、緩やかだが動いている。しかし、地方自治体や国は恐竜のごとく動作が鈍い。氷河期が彼らを滅ぼしたように、日本が衰退する危機を感じる。次期首相の責任は大変重い。