コラム「人と経営」
コーチングからファシリテーションへ No.2
1.マネジメントとリーダーシップ
創業経営者は強烈なリーダーシップを発揮し、会社を引っ張って行く。
ビジョンや目標を明確にし、変革を推進する。カリスマと呼ばれる人々も、このリーダーシップ能力が卓越している。
一方、マネジメントは経営管理や経営と捉えるが、経営者にはマネジメント能力も重要な資質である。つくった変化、即ち新しい事業を管理し、そこから収益を生んで行かねばならない。
この2つの能力を持っている経営者やリーダーは少ない。でも、二人もしくは三人で変革を起こし、その変革を維持成長させた経営者はいる。あのホンダの創業時、本田宗一郎と藤沢武雄。ソニーの創業者、井深大と盛田昭夫。
2.ファシリテーションの必要性
いくら素晴らしいビジョンがあって、仕組みが出来上がっていても、その組織を構成する人々が活性化していないと、笛吹けど踊らず、経営者が孤立し、成果が上がらない。
ファシリテーション(促進・支援)はリーダーシップとマネジメントを補完する。目標をブレークダウンし自律したメンバーが能力を発揮する。チームやグループのコミュニケーションを円滑にし、相乗効果が期待できる。
日産自動車がファシリテーションを使い、会議を活性化し、意思決定を早くし、合意形成を取り付けた約束を実行する風土を築いた。あのV字回復を果たしたクロスファンクショナルチームは、横断的な組織であったが、うまく機能した。
3.ファシリテーションのスキル
集団の知を使う。場をつくる。他人の意見を受け止める。議論を深める。考えを整理する。合意の上でやるべきことを決める。
スキルには傾聴、共感、観察、質問、ここにはカウンセリングやコーチングの技術や知識、態度が活用できる。ファシリテーションを進行するファシリテーターは、中立的な立場で関わりを持つ。
会議であれ、打ち合わせであれトップダウンで決める場もあるが、みなが合意の上で、話が進めば限りなく人間関係の生産性は向上する。ドラッカーの言う学習する組織はここから始まる。