コラム「人と経営」
経営者よ!!成功に甘えるな No.2
1.米国の経営を模倣するな
2001年、米国ではエンロンに代表される大きな会計不祥事が有った。その後、2002年に上場企業会計改革および投資家保護法、いわゆるSOX法が制定されて上場企業は内部統制他、厳しい処理を迫られることになった。
この事件には、ベースに時価会計などの会計手法を巧妙に使い、売り上げや利益を水増した。粉飾決算も加わり、株価をつり上げる悪の循環を繰り返し、四大監査法人の一つ、アーサー・アンダーセンまでが事件に荷担していた。
2006年、ライブドア事件が起こり日本にも飛び火した。日本版SOX法が登場し、日本の上場企業は新たな対応を余儀なくされている。やはり、その前に会計基準の見直しが米国を模倣して始まった結果である。
2.日本流の経営がある
米国の大手小売業、ウォルマートのCEOは年収3億円。1億円以上の社長はざらにいる。その上、ストックオプションなどを利用すれば、数十億円の報酬を手にすることも出来る。
社長は、社員や顧客を見ていない。投資家、大株主に目が行っている。短期に利ザヤを稼ぎ、株価を上昇させることが、米国流経営者の目的である。
CSR(企業の社会的責任)が注目されているが、程遠い経営だ。
日本は米国型の経営を真似ず、日本流でやるべきである。長く顧客や従業員、取引先や地域との信頼関係が築けるような経営、商いを実践して欲しい。近江商人は三方よし。250年前から行商で根付いた考えが、売り手よし、買い手よし、世間よしである。
3.トヨタの改善にも通じる
日産自動車がゴーン改革で大きな収益を上げたが、今年はコミットメント未達に終わりそうだ。研究開発費を切りつめ、仕入れ先を切り、達成した利益である。コーンの年収は如何ほどだろう。米国の経営者と変わらない。
一方、トヨタ自動車は着実に成長を遂げている。トヨタは仕入れ先を切り捨てるのではなく、共に改善を積み重ねて、一緒に頑張ろうの姿勢を貫く。
トヨタの改善は、人間尊重の精神が基本にある。従業員の智恵とやる気をうまく引き出す。社員と取引先、顧客、株主と対等に付き合う。トヨタのように短期ではなく息の長い経営を目指して欲しい。