コラム「人と経営」
自然にかえろう No.1
1.とある果樹園
全くの無農薬で梅林を育てていると摘果をした3%位が市場に出荷できる状態で、ほとんどの梅は虫に冒されるか、傷ついているのだと言う。
農業で飯を食っていない果樹園ならそれでも許される。
普通、農薬の散布を数回行う。そうして市場へと出荷される。和歌山の梅林は有名だが、大規模な梅林ほど確実に農薬を使用している。当然ながら農業従事者は農薬の被害に遭う。
一般消費者は、野菜や果物が出来る過程よりも、ブランドや見栄えを重視する。
皮ごとかぶりつける果物は希少だ。しっかりと洗い、栄養素の多い皮をむく。
2.自然農法でも成り立つ
マスコミにも登場している青森の木村さん(りんご農家)は、「無農薬、無肥料、自然栽培」を実践している農業の革命家だ。無農薬に切り替え、りんごの実がならず10年間無収入の状態を乗り切った。
木村さんは30年ほど前に、無農薬、無化学肥料に取り組み、試行錯誤を繰り返し技術を確立した。今では農業指導に全国を飛び回っている。
明治の頃、水田や畑に農薬は無かった。
自然界に無い物質を蒔き続け、先祖代々の豊かな土壌を目茶苦茶にした。
土地は益々汚染されて行く。自家食用の野菜には、農薬をまかないと農家の人々は言う。
3.異端児が国を救う
国は、日本の農業を駄目にする政策を打ち続けた。食糧自給率がこれほど下がっても、政策転換をする気配は無い。荒れ放題の農地が増え続けている。国の展望が見えない。
木村さんは異端児だろう。周りの農家から、理解をされない時期が長く続いた。
しかし、やり遂げる信念が勝った。民間レベルの地道な活動は全国に広まっている。
「自然にかえろう」。人間は、エレクトロニクスや石油の世界から開放される時を迎えている。
江戸時代の暮らしは、本当のエコロジーを体感できる。クーラーを止めて、自然の風で生活してみよう。