コラム「人と経営」
シリコンバレーの風 No.2
1.iPadは夢の機械か
iPadを3,000台購入したT社。傘下の企業に無料で配布する。税金対策かも知れないが、貰った企業は使い道が解らない。M社の社長は、「取り合えず1台買ったが、今は営業マンに渡している。利用方法を考えろと」。
飛びついて見たものの、パソコンとは違う世界に戸惑う。何が出来るのか。企業も試行錯誤している。スティーブジョブスは新しい世界を見せた。後はユーザーが判断する。
医療や教育での可能性が拡がっている。鮮明な画像、データの送受信、場所を問わず、イメージを共有出来る。ビジネスやエンターティメントはもっと大きな潜在需要を抱えている。
2.巨人の暴走
マイクロソフトは、大きくなりすぎた。その巨体を維持するのは大変だろう。ヒューレットパッカードも、インテルも同じ悩みを持つ。ソニーやパナソニックも何兆円の売り上げを確保するのは至難の業だ。
アップルとグーグル、アップルとアドビの仲が悪い。iPhoneのブラウザでアドビの技術を使ったページが見られない。グーグルマップをiPhoneで使うと大変便利で重宝するが、使えなくなる時がいずれ来る。
シリコンバレーの巨人がケンカをして、一番困るのは、ユーザーだ。確かにスマートフォンの市場を開拓したのはアップルで、検索市場を大きくしたのはグーグルだろうが、ユーザーを考えないビジネスは崩壊する。
3.多民族が集まるシリコンバレー
日本のIT業界は、米国の技術やサービス、製品を輸入するに止まる。画期的な新製品は出ない。この閉塞感を打ち破るようなモノは無い。
ソフトバンクを引っ張る孫社長は、iPhone特需で鼻高々だ。しかし、ソフトバンクが開発した製品ではなく、所詮は日本国内での販売を任されているだけ。販売者はドコモでも良かった。
混沌とした中に次の発明が宿る。日本は、戦後多くのベンチャーが生まれ、ものづくり大国の基礎を作った。官僚が支配する日本に、その活気は無い。補助金をばらまくのでは無く、「人が行き交う場」を作ろう。
シリコンバレーは自由だ。金とチャンスと人材が行き交う。