コラム「人と経営」
EU二大国の憂鬱
1.パックス・ブリタニカ
近代経済を紐解くと、米国とイギリスの二大覇権国が大きな力を持ち、世界の経済に影響を与えたことが解る。産業革命以降1850年代から第一次世界大戦以前までは、「パックス・ブリタニカ」。
イギリス帝国が世界の覇権国として君臨した。そして、第二次世界大戦(1945年)以降、21世紀までのソ連との冷戦時代を経るがアメリカを中心に動いた「パックス・アメリカーナ」と呼ばれる時代が続く。
日本が議会制民主主義を導入する手本とした国である。明治新政府の要人が頻繁に訪れ、国家の在り方から経済の仕組みなど多岐に渡り学んだ。
直近でも民主党が声高に叫ぶ二大政党制も見本はイギリスだ。
2.農業大国から知的生産国へ
農業国のイメージが強いフランス。食品関連企業が多いが、その中でも日本でBIOのブランドで馴染み深いダノン。国際食品企業グループとして2兆3千億円以上の売上げがある。
フランスと言えば世界に名を馳せている著名ブランドが本社や本店を構える。歴史も有るが常にファッションの先端を走り、ワールドワイドな展開をしているブランドが多い。
シャンゼリゼ通りのルイヴィトン本店は、行列が出来る。このブランドを展開するLVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループの売上高は2兆円を超える。日本の鉄鋼メーカー2位のJFEスチールと肩を並べる。
3.多様性を受け入れるリスク
ある小売りの販売店、レジ店員は有色人種が多く、英語などの会話は通じない。多様な人種が混ざり、治安も良いとは言えない大都会パリ。原発問題を抱え憂慮するフランス。
寛容な国、イギリス。世界から直接投資を受け入れる、進出する海外の企業も多い。ユニクロが日本国外に始めて出店したのはロンドンだ(一度撤退縮小し、再進出を果たし成功している)。
ユーロ圏の経済は決して良くない。財政破綻寸前の国々が次々現れる。
EUとIMFは第二次のギリシャ支援策を決めた。英仏共に余力は無い。財政改革に挑むイギリス。政権交代の良さ出るのか、見守りたい。