コラム「人と経営」
自動車産業の未来 No.2
1.大きく伸びるアジア市場
東日本大震災の影響も有り、2011年度の日本国内自動車販売台数は400万台を切った。
2009年、2010年と少しずつ回復しつつあったが、大きく落ち込む。一方中国、インドは急伸。
そのパワーは世界を牽引する。
中国は2010年、1800万台の販売を記録し米国を抜いて世界一になった。
中国自動車工業協会は2020年の予測を4000万台とした。そして、インドの自動車生産台数は2011年、300万台、2020年には800万台を予測する。
人口の多いインドネシアやマレーシアなども豊になりつつあり、モータリゼーションの波を止めることが出来ない。アジアだけで、10年後には数千万台のクルマが街を埋め尽くす。
2.縮小する日本
インドや中国でも、日本の大手自動車メーカーが販売を予定しているのは低価格車だ。2011年度、米国の自動車販売台数は堅調で米国メーカーが好調を維持した。T社は世界で2012年過去最高の販売を計画している。
日本国内では、自動車を持たない世代が増えた。所有からリース、そしてカーシェアリングへと。自動車の所有がステータスだった時代は一昔前の発想だ。公共交通機関をうまく使い、様々な乗り物を種々選択する。
最大手のT社は、2012年国内生産300万台を死守すると宣言しているが、販売は苦戦を強いられるだろう。D社が好調なのは、走行距離がハイブリッド並で、車体価格が安い。正しくエコカーが売れている。
3.エコカーで生き残り
エコカーはハイブリッド車や電気自動車(EV)を指すが、普及となると価格がネックになり購入に二の足を踏む。ユーザーの本音は低価格で燃費が良く、維持費が安く済む。となると軽自動車が候補に挙がる。
D社はそう言ったエコカーを「第三のエコカー」と称し、新車を発売、人気を博している。要は、ハイブリッドや電気自動車でない低燃費ガソリン車だ。数年は低燃費を実現するガソリン車の開発競争になるだろう。
エコカー本命の電気自動車は、10年後どれ位普及をしているのか。ある調査機関のデータで見ると、2011年は12万台、2020年に330万台、9兆円の市場規模になる。その頃アジアは数千万台のクルマで溢れている。