コラム「人と経営」
オリンピックに沸くロンドン
1.変貌するオリンピック
ロンドンオリンピックが始まった。莫大な費用がかかるオリンピックは、今、商業主義だと批判されている。アマチュアの祭典と言っていた時期から、今やプロが参加する競技大会へと大きく変貌。
オリンピックの公式スポンサー企業は、1億ドルとも言われる高額な広告料を払い、世界の消費者に訴える。オリンピックのロゴを使い、自社商品に張り付ける。目に見えた広告合戦を繰り広げる。
28年前のロサンゼルスオリンピックから、スポンサーの広告料やテレビの放映料を大きな収入に、派手な開会式を行い、商業主義へとひた走った。参加選手の意識も変わり、パフォーマンスが目立つ。
2.ロンドンの金融機関は今
産業革命による資本の自由化、資本主義を支えたのが、通称シティ(Cityof London)と呼ばれるロンドンの金融センター。永らくその金融機能により世界の経済を牽引した。銀行、証券、保険会社の原点がここにある。
そのロンドンで6月に銀行間取引金利「LIBOR」が不正に操作されたと、一斉にマスコミが報じた。一行では無く世界的な銀行の複数行が関与、不正な利益を得たと疑われている。
英国の大手銀行バークレイズが金融当局からLIBOR不正操作の指摘を受け、課徴金(罰金にあたる)の支払いに同意していることからも、事実であったことを印象づけた。世界の金融センターの信用が失墜している。
3.若年者の失業に頭を抱える
移民に対して市民権を与える。アフリカ、中東、アジアの国々の人種が暮らすイギリス。
イギリスの人口は、1980年から右肩上がりで成長を続け、約700万人増加。それに伴い就業人口も1982年から約500万人増えている。
しかし、失業率は、2004年に5%を切ってから上昇を続け2012年8.26%まで悪化。特に若年層の失業率は現在、20%を超えており、改善への展望も見えていない。16~24歳の失業者数は100万人を上回った。
イギリス政府は若年層に対して、職業訓練や就業体験、雇用助成他様々な政策を実施しているが、効果が現れない。ギリシャ、スペインの若年者の失業率50%から比べると軽微かも知れないが、将来に大きな禍根を残す。