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マーケティングの再考 No.1

column

コラム「人と経営」

マーケティングの再考 No.1

1.大きな組織ほど動きが遅い

21世紀に入って市場環境の変化はメガトレンドに振れている。数年後さえ予測するのは難しい。2000年成功していた企業が、今凋落している、または、大きな減速を余儀なくされている。

このアベノミクスで上場企業の利益は上向いてはいるが、構造的に問題のある企業が多い。
市場環境の変化に敏感に反応するのは、消費者や一般ユーザーである。そして、社会構造の変化が背景にある。

一方、企業がその変化に組織的な対応を起こすのに相当時間を要する。
先ずは、現場の営業マンや少し組織ではみ出た人材が、その変化に気づく。しかし、組織まで浸透し腰を上げるには大きなハードルがある。

2.マーケティングの基本に立ち返れ

「市場環境変化への全社的な適応行動」、これはマーケティングの定義になるが、実践している企業は少ない。社会が変わろうが企業の行動は一向に変わっていない。成功体験に浸っている。

業績が悪化すると、経費の切り詰めや人的資源だけのリストラを実行する。経営トップ、対象顧客、取り扱い商品、仕入れ先に変わりがないので有れば効果が乏しい。

一度倒産した企業が法的な枠組みで再生に取り組み、再生終了の後、再度倒産する企業の2/3は民事再生法の申請企業だ。経営トップや幹部を入れ替えることなく債務カットだけでは再生出来ない。

3.変化の先を行く

銀座や新橋で数店舗を展開し、快進撃を続けるイタリアンやフレンチのチェーンV社。有名レストランや割烹の調理人をスカウトし、立ち飲みスタイルで原価率40%の料理を提供する。開店時間前に行列が出来る。

このV社を立ち上げたS氏は某著名なサービス業を興した創業者。この飲食業界を新しい事業として選んだのは、社員が会社の成長と共に独立出来る、または、小さくても勝てることを目指した。

V社の経営理念の一つに、「全従業員の物心両面の幸福の追求」とある。
全くの素人が、「日本の食文化を世界に広める」ことをキーワードに日本の一等地、銀座を攻める。そんな店を、消費者は歓迎している。

(Written by 川下行三 13/05/07)
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