コラム「人と経営」
クラウドファンディング
1.注目のクラウドファンディング
ここ最近、「クラウドファンディング」が注目されている。クラウド(大衆)とファンディング(資金調達)を結びつけた造語で、インターネットを活用した資金調達の新たな仕組みになる。
資金調達をしたい希望者が、インターネット上でプロジェクトを発表することにより、必要な資金を集めることができる。山中伸弥教授がiPS細胞の開発研究の資金援助に活用したことで一気に認知が広まった。
通常の融資とは違い、不特定多数の人からインターネット上で資金提供を募り、協賛金額に応じてプロジェクト成功後の商品やサービスなどで資金提供者に報酬を返上する。
2.一歩進む米国
クラウドファンディングの原点は、19世紀後半からネットを活用せずに小規模の資金を銀行などの専門機関を通さず、多くの人から集める形態として存在した。
10数年前からはインターネットを活用し、米国を中心に発展してきた。
成功例として著名なクラウドファンディングの運営会社があるが、主に映画や音楽、ゲームなどのプロジェクトに資金調達を行っている。
米国にはエンジェルと呼ばれる個人投資家がベンチャーに資金提供しているが、スタートアップ企業は、更に選択肢が拡がる。米国全体のクラウドファンディングの市場規模は、2012年に28億ドルに達している。
3.遅ればせながら日本では行政も関わる
大阪府が昨年から独自のクラウドファンディングを立ち上げた。中小企業やベンチャー企業へ働きかけているが、まだ、はじめたたばかりで大きな成果は現れていない。
クラウドファンディングは、商品開発の実験的なプロジェクトや技術・アイディアは有るが事業化する資金が無いなど、個人よりも企業やグループでの活用が広まって行くものと思われる。
しかし、行政が関わると審査や仕組みが硬直的になり、確実に成功するようなプロジェクトでしか実施が出来ない恐れがある。魅力的なアイデアであっても資金や事業計画の精度が弱いと採用されない。
クラウドファンディングはもっと自由に、そして社会性が有れば誰もが活用できる、そんな可能性を秘めている。民間に任せなさい。