コラム「人と経営」
人手不足時代の経営 No.1
1.景気回復が引き金
安倍政権になって株価が急回復、為替が円高から円安に振れ日本経済はリーマンショック以前によみがえった。企業の業績も良くなり好決算の報告が増えた。そして、数年ぶりの賃上げを実施した企業も珍しくない。
新聞紙面では、増収増益の決算報告が目につく。しかし、中小企業でベースアップを実行した企業がどれだけあるのか。パートタイムの時間給は上昇し、益々中小零細企業は賃金の負担が重くなっている。
大手企業を中心に採用意欲が高まっている。今年になって、中小企業も人手不足を感じ、採用に動き出したが良い人材が集まらない、採れない。新卒採用は2015年、2016年と厳しい状況が続く。
2.人手不足の採用戦線
中小企業の採用担当者が集まる会合にて、本音が漏れる。予算が少ない中で大学に足を運ぶが、結果は芳しくない。上場企業は、採用人数も多いがそこにかける金額も中小企業の10倍近くと破格の経費をかける。
バブル期まで行かないが内定者を止める為に、ホテルでの食事やあれこれと気を遣う。一昨年まで、学生は多くの企業説明会に参加し、厳しい就職戦線を過ごしたが、僅か1~2年で様相ががらりと変わった。
採用担当者の苦労は続く。日本企業の新卒重視は変わらない。終身雇用が崩壊し、年功序列も成り立たない時代に、一人前になるまで企業内で雇用し教育をするのは時代遅れかも知れない。
3.多様な人材を雇用する企業が強い
即戦力が欲しい。社内に有料の職業訓練学校に近い機関を作っている中小企業も有る。そこで基礎的な知識や技能・技術を身につける。どこにも染まっていない技術のある学卒社員を採用出来る。
新卒採用のシステムを維持するには、企業単位での努力には限界が有る。
長期的な人材育成の仕組みと新卒採用は日本企業の強みであった。短期で結果が求められる企業には荷が重い。
新卒採用一辺倒では不況期に採用を控えいびつな組織構造になる。年齢構成だけでは無く、高齢者、女性、障害者、外国人など多様な人材を雇用し活用する企業が増える。
ダイバーシティマネジメントがこれからの経営には必要かも知れない。