コラム「人と経営」
脳に近づくコンピュータ No.1
1.テクノロジーは大きく変わる
テレビが日本の家庭に普及をはじめたのは昭和30年代。ラジオや映画が娯楽の中心だった時代から大きく変化を遂げた。仕事への影響は限られていたが、テレビを基軸に国民の生活は変貌する。
21世紀突入前に、パーソナルコンピュータが仕事場に入り、目は画面にくぎ付け、指はキーボードを叩く。そしてインターネットの出現によりあらゆるデバイスがネットワークに繋がる時代の幕が開けた。
インテルの創設者ムーア博士が提唱した「ムーアの法則」。半導体の集積密度は18~24ヶ月で倍増する。約2年で倍になる。パソコンが登場したのも半導体の進化のスピードと比例する。
2.コグニティブ・コンピューティング
IBMが提唱するコグニティブ・コンピューティング。第三世代コンピューティングとも呼ばれる。計算機の時代を第一世代、そして、現在のソフトウェアで動く第二世代、学習機能を持った第三世代へ。
コグニティブ・コンピューティング(Cognitive Computing)のコグニティブは経験知や認知の意味。自然言語を解釈し、蓄積した膨大な知識や経験から学習し、人間の意思決定を支援し可能性を拡げる。
今までの第二世代は、プログラミングされたコンピュータで処理を行う。
コグニティブコンピューティングは、人間の脳の動きと同じように言葉を理解し、仮説を立て物事を決め、学習する。
3.ロボットが人間に近づく
ロボットが進化をしている。重たいものを運ぶ、機械としてのロボットからペットのように寄り添い、人間の情緒に働きかけるロボット。介護や医療、家事、工場、災害現場・・・。
某メーカーのロボットは、周囲の状況を把握しながら自律的に判断し行動する。顔の表情と声のトーンを分析して人間の感情を推定する。優しさや感情をロボットに提供していきたいと代表者は言う。
人間でも難しいコミュニケーションに特化したロボットを開発し販売した同社。道のりは決して緩やかでは無いが人間に近づいたロボットとして一歩を築いた。本当の意味でのロボットと人間の歩みが始まった。