コラム「人と経営」
今年の行方 No.3
1.サミット真っ只中
日本で行われるサミットとしては6回目。前回、2008年7月に北海道洞爺湖で開催されてから8年が経過した。同年9月にリーマンブラザーズが経営破綻、リーマンショックが始まる直前の開催であった。
その後、2009年、2010年と世界経済は大きな打撃を受けた。欧州、米国、アジア各国も景気後退する中で、中国政府は財政支出を増やし、その恩恵を受けて各国は一息をついた。
伊勢志摩サミットの大きなテーマとしては、世界経済の立て直しだが、各国が足並みを揃えて解決への道筋をつけるのは難しい。特に財政出動は、ドイツが反対をしているので共同発表に至らないだろう。
2.後退する世界経済
今年の世界経済は、IMFの予測ではGDP成長率が3.4%とかなり高い数字であったが4月に3.2%と引き下げた。要因は、中国経済の停滞、原油安、欧州を中心とした先進諸国の景気低迷などだ。
日本のGDP成長率は何と0.5%と低い数字の予測が行われている。そして、オリンピック開催地のブラジルはマイナス3.8%と0.3%マイナス値が増えた。
日本が一番先頭を走ってきたデフレ。そして、そのデフレ現象が世界に広まってきた。黒田日銀総裁はインフレを目標にしてきたが、もう行き詰まっているのは明らかだ。
3.今年の日本経済は
2016年3月期の大手企業の決算は増収増益と比較的好調を維持している。
売上高、利益も過去最高という好決算の企業も多い。原油安、円安が寄与した。円安は輸出企業の業績を押し上げた。
2017年3月期の予想も、前期よりも増収を見込んでいる。と、この数字を見れば日本の企業は儲かっている、給与も少しは上がっている。IMFのGDP 0.5%の成長率予想は相当厳しく見ている。
ここに来て、円高に振れてきた為替の影響もあるだろうが、日本のデフレ体質が変わっていないことも要因だ。消費の弱さも大きい。輸出中心で稼ぐ構造から内需主導へ、そんな経済対策を政府に期待したい。