コラム「人と経営」
デジタル通貨は世界を変える
1.セブンペイの失敗
スマホ決済サービスは、ソフトバンクが始めたPayPay、日本でのSNSリーダーのLINE Pay 、楽天Payが矢継ぎ早にサービスを始め20%還元などで今年に入って多くのユーザーを取り込んだ。
スマホ決済後発のセブンイレブンは7月1日鳴り物入りでファミマPayと同時にサービスをスタート。翌日に不正利用が発覚し、3日後に新規会員登録を停止、事実上サービスが終了。
セブン&アイ・ホールディングスは、9月30日24時00分を期限として7Payのサービスを廃止すると記者発表。小売り業の王者セブンイレブンの失態では片付かない出来事がこの夏にかけめぐった。
2.先行した中国の決済サービス
中国の2大決済サービスはアリババ集団が発行する支付宝(アリペイ)とWechat(中国版のLine)が提供するWechat Pay(ウィーチャットペイ)。この2大サービスは中国人の9割が利用する。
20年前、中国政府が推奨した銀聯(ぎんれん)カードがキャッシュレス化を加速。10年後、スマートフォンが登場し、専用アプリを使って簡単にQRコードで決済ができるサービスが一気に広がる。
中国では現金で決済出来る店やサービスが少なくなって来ている。タクシーやちょっとした買い物、露天での寄付まで電子マネー化が進む。現金を信用しない国民だからこそ、新しいサービスが根付いた。
3.仮想通貨と決済サービスの将来
約6億人の中国人が使うWechatPayは送金サービスも提供している。銀行口座への送金から、割り勘やお年玉まで対応。しかし、あくまで中国国内でのやりとりを念頭に置いている。
そして、6月末世界を揺るがす発表がFaceBookから行われた。それが仮想通貨Libra(リブラ)。27億人が利用するFacebookが取り組むLibraは、電子決済のみならず各国が発行する通貨を脅かし、銀行の収益を圧迫。
ブロックチェーン技術を使いセキュリティを確保、他の仮想通貨と違い信託会社を使い現金を担保。そして、国際間送金手数料を1決済、数円から数十円など、銀行口座を持たない世界17億人の利用者に朗報だ。
世界各国の通貨当局は身構え、7月米下院での公聴会やG7財務相会義で大きなテーマになった。2020年サービス開始は遅れるようだが後戻りは出来ないだろう。