コラム「人と経営」
デジタル・トランフォメーション
1.IT化とは違うDX
デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)通称DXは、デジタル技術を使い企業変革を行う。経済産業省は、「将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネス・モデルを創出・柔軟に改変する」と定義付けている。
今、何故DXが注目されるのか。いままでのIT化では基幹システムなどの業務システムをIT化し、社内の情報化を推進してきたが企業変革には至っていない。
あらゆるものがネットワークで繋がるIoT化やAIの活用なども利用が可能になりDXにより企業の競争優位が確立できる。しかし、日本企業のDXが進んでいるのは僅か数パーセントだと報告されている。
2.DX企業は全てをデジタル化している
老舗旅館の陣屋のDXは有名だ。売上げ数億円の旅館だが、10年前までは10億円の借金を抱え廃業寸前まで追い込まれ、それを素人女将が再生を果たす。多くのメディアで取り上げられた。
様々な変革を推進したが、中心はDXで予約、接客、調理場、設備管理、勤怠管理、経営までを管理が出来るシステムを導入。旅館のビジネスモデルまでも大きく変えることに成功した。
これは、経営者がどう考え、変革への意識があるかが問われる。陣屋の場合、危機意識は従業員には芽生えていたが、何をどうするのかが分からない。経営者が変わり、短期間に業績改善を求められたことが良かった。
3.中小企業はDXで生き残れるのか
中小企業が生き残りの為にデジタルを活用しようと考えているのか疑問を感じる。経営者が真剣にDXを認識して経営を変革しなければ絵に描いた餅になる。
経済産業省がガイドラインを作って推進するDXでは企業の古い基幹システムに警鐘を鳴らす。また、DX人材の不足が指摘されている。ベンダーまかせではなく社内にDXがわかる人材が必要だ。
中小企業では持てるものが限られる。先ず始めに低予算で企業活動のほぼ全てをデジタル化し、データの標準化を行い一歩踏み出す。そして、販売や生産活動にDX化することでビジネスの変革が進む。