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景気後退が始まっている No.2

column

コラム「人と経営」

景気後退が始まっている No.2

1.人手不足がじわじわと

物価高が確実に景気後退に影を落としている。資材不足、物流費の高騰、そして、人手不足。この7月の有効求人倍率は1.29倍と昨年に比べると0.15倍上昇している。

サービス業の人手不足は、事業自体の継続に影響が出る大きな要因と言える。ドイツでは、失業率が低く人手不足により生産に支障が出ている。EU各国も低成長ではあるが失業率が低下している。

米国の国内総生産(GDP)4-6月期の成長率は前期比年率マイナス0.9%と1-3月期に続きマイナスとなった。しかし、7月の就業者数は50万人増、失業率は3.5%と低水準を保っている。

2.日本経済の低空飛行

経済が成長すると雇用が拡大する、または失業率が低下すると経済は成長する。ところが、今先進国の数カ国で起きている経済の低迷と雇用の拡大は、新たな問題を引き起こす。

失われた30年の日本。永く低成長を続けてきたが、失業率は低く、給与も上がらず、物価も上がらないデフレの中で企業は雇用を確保してきた。世界で起きている景気後退と失業率の低下を30年前から経験している。

日本の問題は労働力の移動が行われず、成長している分野や企業では人手不足が常態化。低迷している分野では賃上げはしないが雇用を確保してきた。新陳代謝が行われず、日本全体として低空飛行を続けてきた。

3.スタグフレーションの予兆

この8月のパートタイム・アルバイトの時給は三大都市圏で1,184円(リクルート調べ)と過去最高を更新した。某サービス業では、スタッフの確保が出来ず閉店に追いやられた。

コロナの感染拡大により、外国人労働者が入国出来ず、高齢者も出勤を控え、様々な企業に影響が出た。日本に限らず、物価上昇なのに景気が後退するスタグフレーションが目の前に迫っている。

スタグフレーションは失業率が高いときに起こるのが通説で、低成長と高い失業率と物価高。しかし、今は低成長と低い失業率に物価の高騰。雇用が増え、人手不足が始まっている。

(Written by 川下行三 22/09/29)
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